温度差を小さくする天井対流扇
天井の高い建物に入ると、天井にゆっくり回る大型扇風機のようなものが付いているのを見たことがあると思います。
あれが、天井対流扇です。大体、1m30cmから1m50cmあります。
結構、ゆっくり、優雅に回っていますよね。どこか南国を思わせるような風情があります。
南国で付いているものは、風を肌に当てることで体感温度が下がる効果を期待して付けられています。扇風機よりも風は弱いですが、肌にまとわり付く空気を取り除いてくれます。
空気が動くと汗が蒸発し易くなり、肌の表面温度が下がるのです。
「なんか、涼しいわね!」となります。汗が蒸発する時に肌から熱を奪って蒸発してくれるので涼しくなります。人間の体は良く出来ていますね。
そんな原理を気にしたことありました。「いや〜あ、全然」って人も多いのではないでしょうか。人間は自然と上手に快適な状態を見つけ出し、作り出しているのですね。
天井対流扇は夏だけのものではありません。冬、暖められた空気は軽いのでどんどん上へ上がって行きます。部屋の中で立つと頭は暑いけど足元が寒いという経験をしたことがある人は多いと思います。
暖められた空気は上がり、ガラス窓や外壁で冷やされた空気は下がり足元辺りをウロウロするので不快な室内環境が出来てしまいます。
この分離してしまった空気を混ぜてくれるのが「天井対流扇」です。下向き回転とすることで、上がった暖かい空気を下に下げてくれます。そうすると下にある空気が圧力で上に上がってきて、どんどん混ざっていきます。当然、温度は均一になり易くなりますよね。
昔の家で、気密性能や断熱性能が低くても、この天井対流扇を付けることによって、かなり上下の温度差を小さくすることが可能です。
快適な室内環境に近づけてくれます。もう、冬は終わりになりますが、来年、天井対流扇の購入もご検討下さい。
ここだけの話ですけど、床にある程度の断熱性能があり、天井対流扇を付け、下向き方向に回転させると床が暖かくなります。これは暖かい空気が降りて来るので床面を暖めてくれるのです。床暖房ほどではありませんが、結構、暖かいですよ。(実体験で保証付き)
天井の高い部屋が対象のように感じている方もいらっしゃると思いますが、そんなことはありません。「家は吹抜けじゃないから必要ない」と思われている方の家にも効果は抜群にあります。むしろ、天井が低いので空気が混ざり易く、上下の温度が均一になり易いです。つまり、より快適になるということです。でも、お金が掛かりますので良くご検討を!
もう一つの問題は、あまり天井が低いと天井対流扇の回転する姿が、目ざわりに感じてしまうということです。ある程度の天井高さが必要だと思います。
じっと見ているとトンボのように目を回してしまうのが問題です。(冗談!)
それと、消費電力ですね。高速回転だと40W程度なので24時間、回していると20円から25円掛かります。低速回転だと4円から5円です。
1ヶ月で考えると高速回転で700円程度、低速回転で150円程度となります。冬の間の快適性と暖房費を考えると安いと思いますけどね。
天井対流扇の呼び名は各メーカーで違います。回転も上向き回転と下向き回転が選べるタイプと選べないタイプというのがあります。夏用冬用なのですが、回転方向を選べるタイプを選んで頂いた方が良いかと思います。
その他はデザイン性や好みの問題となります。
「吹抜けのあるところに天井対流扇あり」という感じもします。吹抜けと天井対流扇について、もう少しお話させて下さい。
ちょっと前のメルマガでもご紹介していますが、吹抜けは天井が高くて気持ちの良いものです。そんな空間を造りたいとお考えの方は、天井対流扇をご検討下さい。
上記のように天井対流扇を付けることによって、上下の温度差を小さくすることができます。ここにある程度の気密性と高断熱性能が加わると上下の温度差が小さな吹抜けを造ることが可能となります。
つまり、暖かな空気は上がってしまいますが、天井対流扇で空気を下げることで、寒くない吹抜けを造ることが可能ということです。現実的に床を暖める効果もあります。
豊かな空間で生活したいとお考えの方は天井対流扇を設置することをお勧めします。
余談にはなりますが「吹抜けには床暖房を!」という話もあります。吹抜けに限らず、床が暖かいというのは生活し易いです。ただ、暖かすぎるのは不快感を生みますので、どんな床暖房なのかも注意が必要です。
床暖房については、また後日、お話させて頂きたいと思います。
●これから家を新築される方へ
天井対流扇からは気流が生まれますので、冬は寒く感じることもあります。
取り付け位置は人のあまりいない所が良いのですが、効果は部屋の真中が一番です。一長一短なので選択の難しいところです。
◇道先 案内人(みちさき あんないと)のお勧めは2階までの吹抜けとしない場合は照明器具の付いていないものを選択するということです。または、通気断熱WB工法で使用している「省エネ君ヨドマーズ」をご検討頂ければと思います。四角い箱が天井に付いている。という感じになります。
デザインの好みは人それぞれという感じでしょうか。
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